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新型コロナウイルス感染症対策について 第一次緊急要望

4月21日付で県知事、県教育長、県警本部長あてにそれぞれ所管に応じて要望書の提出を行いました。以下、知事に対する要望書について抜粋いたします。現地調査等が容易に叶わず、電話や仲介者を通じての現場ヒアリングになりますが引き続き県民皆様の声をもとに政策提言に繋げていきたいと思います。

はじめに
 国においては、4月7日、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言を東京都などを含む7都府県へ発令し、同月16日には、右都府県以外にも感染が広がっていることから、来月6日までの期間、対象地域を本県を含む全国に拡大することが正式に決定されました。
 本県においては、3月31日に県内初の感染を確認して以来、4月20日時点で計64名の感染が確認され(うち退院者計15名)、約3週間の短期間において県内での感染拡大が一気に進んでおります。
 こうした未曽有の危機の中、県民の安心安全を確保すべく、本部長である吉村知事はじめ県職員、市町村職員、関係各位、そして何よりも医療従事者や保健所職員をはじめとした第一線で職務に励まれている皆様、各地域で不安を抱えながら耐えに耐えて生活をされている県民全てに敬意と感謝を表する次第です。
 私ども、国民民主党山形県総支部連合会においても、2月28日付で右連合会内に対策本部を立ち上げ、これまで刻一刻と変化する各地域での現場の声を党所属の県議、市議、町議を通じて集積して参りました。
 中長期戦が予測される今日にあって、まずは、県民全体での感染防止対策の徹底を実現し、公共サービスである医療や保健所、役所機能をはじめとした環境や組織を持続可能なものへと醸成し、相談体制の拡充や事業者と雇用を守るといった県民生活へのきめの細かな配慮、さらには財源に裏付けされた大胆な経済対策が強く望まれます。
 ついては、一日も早い日常生活の回復を願い、以下の政策項目を緊急要望いたします。

新型コロナウイルス(COVID‐19)感染症対策に関する第一次緊急要望事項

1 組織体制について
 本県危機対策本部を最高意思決定機関としての組織体制を強化し、各総合支庁との役割分担、市町村及び関係団体との連携をこれまで以上に図るよう要望する。 
そのためには、とりわけ業務負担が過重化している危機管理及び健康福祉、病院事業を軸とした担当部局について、中長期戦を見据えた持続可能な体制へと醸成することが先決である。例えば、右担当部局らに配属経験のある人員や他部局又は各総合支庁からの人材派遣を実施し、時差通勤も視野に、企画及び実働部隊が機能不全に陥ることがないような対策チームづくりを強く望む。また、県庁舎内感染を最大限に防止するため、とりわけ関係部局の職務を遂行するうえで庁舎内における「三密」を防ぐ工夫を併せてお願いしたい。
 さらに、市町村のそれぞれの現場での状況について情報収集を徹底する体制を構築し、市町村や関係団体の相談窓口とその対応が全県的に円滑なものとなるよう、各総合支庁などとの連携を重ねて要望する。
 加えて、地震や豪雨などの自然災害はいつ何時発生するか予測が困難であるため、避難所での対応や備蓄、医療体制も含めた対策を市町村と連携のうえ、想定、準備されるようお願いしたい。

2 感染防止対策について
 外出自粛を県民に要請する中において感染予防を最大限に徹底するためには、家族内での注意事項の把握が重要である。そのため、感染が疑われる同居人が家族内に存する場合の対応や、いざというときの一連の行動について冷静に対処できるように、情報を一元化した「感染防止ハンドブック」を作成し、市町村を通じて県民への配布を要望する。また、こうしたハンドブックは、今後本県独自に配布を予定している布製マスクを施設や学校に配布する際に乗じて行えば、配送などの諸経費を抑えながら世帯ごとの周知が可能であると考える。なお、個人用のみならず、一次産業を含めた企業及び事業者への様々な支援策や問い合わせ先、感染防止策だけでなく感染者が発生した場合の対応をまとめた事業者向けの「行動ガイドライン」を作成し、市町村を通じ事業所や各施設に配布し、行動指針の「見える化」を図るよう要望する。
 この点、県民全体に対する「見える化」をより充実させるために、PCR検査についての日、週、月ごとの定期的な検証を行うべきと考える。具体的には日ごとの陽性者率や週ごとの増減率、陽性から陰性と変化した割合、退院に至るまでの日数や傾向、年齢、性別ごとの解析を進め、数値化又はグラフ化したものを知事会見などで発信していただくことも県民が冷静に対処すために資すると考えるため、その実施も要望する。
 また、本県では、新型コロナウイルス感染症に関するポータルサイトを開設し情報の提供を行っているが利用者にとって瞬時に必要とする情報が届けれらるよう改良を要望する。
 さらには、各市町村や県警本部、関係団体との連絡体系を強化し、県内の往来自粛やいわゆる「三密」などを防ぐ注意喚起を広報誌や広報車、防災無線などを活用し徹底するよう要望する。
 

3 医療体制の構築と相談体制の拡充について
 感染者の増大に伴い全国的に医療機関での病床不足が懸念されており、本県でも例外ではない。そのため、感染の疑いのある患者の専門の発熱外来、軽症者、中等症患者、重症患者を選別した受け入れ、入院入所による治療、退院後の外出自粛といった、入口から出口までの医療体制の整備を明確に構築する必要がある。そのため、まずは、感染症指定医療機関のうちコロナ専門医療機関の選定及び軽症者の受け入れ施設を早期に準備し、人口呼吸器など必要な医療機器の配備、並びに救急医療体制及び慢性疾患者や妊婦などへの対応に万全の体制で臨まれるよう要望する。
 なお、妊婦への感染が確認された場合に、当該医療機関での分娩が継続できるのか、閉鎖となるのかも専門家による意見を前提に十分に想定、対処されるよう強く望む。
 また、感染症指定医療機関や地域基幹病院のみならず、地元のかかりつけ医に感染の疑いがある患者が受診に来ることを踏まえ、地域医療機関へマスクや防護服などの医療用品が十分に配布されるよう要望する(上記のような専門の発熱外来を設置することで緩和されるとも考える)。
 さらに、院内感染を防止することは非常に困難ではあるが、仮に右状況が発生した場合の対応、及び発生を防止するための工夫ある対策を現場医療従事者の意見をもとに、地域企業と提携し、速やかに実行されるよう強く望む(例えば、集中治療室での感染防止対策として必要な製品の製造を地場産業の技術を活かして導入する、など)。併せて、医療従事者の健康管理にも最大限に留意する必要があるため、交替制による持続可能な勤務体制の構築を望む。
 加えて、コロナ危機を契機に、オンライン診療の導入、及びその支援も視野に入れていただきたい。
 一方で、検体採取、受け入れ先病院の手配、感染経路の追跡など保健所の果たすべき役割は大きく、一方でそれら業務にあたる保健師への過重負担を考えれば、保健師の確保が急務である。また、さらなる相談体制を拡充するためにも保健所の機能を持続可能なものとすることが最優先である。そこで、県内全域での有資格退職者からの補充をより強化する一方、各市町村へ保健師派遣を要請するなど柔軟な連携を図り、保健師の確保を急ぐよう要望する。
 また、PCR検査を受けたくても受けられないという県民の不安があるため、同検査の需要に応えるための民間委託やポータブルキットの配備、PCR検査機器の整備費用助成なども望む。
 なお、本県では、障がい者からの相談及び感染は確認されていないが(4月20日時点)、仮に発生した場合の対処も十分に想定されるようお願いしたい。

4 経済産業対策について
 日々刻々と情報が提供される中においては、事業者が取るべき各種申請手続きを分かりやすく、スピード感をもって示していくことが重要である。政府に対し、各種手続きの緩和を要望するようお願いするとともに、県においても、前述の事業者向け「行動ガイドライン」を周知するよう努めながら、申請手続きなどへの補助制度や市町村、関係団体との連携による相談及び手続きの集約、簡素化を実現されるよう要望する。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う県税の猶予については、適用の拡充と要件の明示化を至急お願いしたい(※現状では、事業の継続又は生活の維持が困難であると認められるときには、各総合支庁税務担当課に相談する旨しか示されていない)。
 一方で、巣ごもり消費傾向にある状況を勘案し、疲弊する地域経済活動を少しでも循環させるために、テイクアウトや通信販売、インターネットやアプリなどの活用、時短営業やテレワーク導入などの働き方改革、運行事業者による買い物代行事業や小売店による商品配送事業など幅広い企画や実施に対応できる、利用しやすい資金支援制度を市町村との連携により早期に設計されるよう要望する。
 さらには、テナント利用事業者に対して、固定費の中で高い割合を占める賃借料についての支払猶予や支払補助を支援していただくとともに、固定資産税の猶予や減免など幅広い視点で、賃貸人との相互理解を得られるような制度設計を市町村と確立されるよう要望する。
 なお、すでに県内においても新型コロナウイルス感染症対策に関連する商品や製品開発の動きが見られるため(※参考資料①)、本県でも普及、啓発に努めるとともに、研究開発などについては既存の中小企業トータルサポート補助金などの周知とその活用を促進するよう要望する。
 加えて、農業においても、果樹や牛肉価格にその影響が見られており、今後の対策が急務である。観光農園の休止、コメや野菜などもインバウンド需要の急激な落ち込みにより価格変動が懸念されるため、巣ごもり消費傾向に順応する形でインターネット上での販路拡大に向けた取組みを支援されるべきである。また、人材不足も懸念されるため、休館を実施している旅館業などからの人材の確保が促されるよう要望する。その際、事業者間の連携を円滑に進める制度設計も検討されるよう提案したい。
 以上を踏まえながら、緊急事態宣言に伴って休業要請に応じる事業者に地方自治体が支払う協力金について、政府は国の財源を充てられる方針に転換したため、本県での緊急経営改善支援金のほか、臨時交付金の確保による幅広い支援が市町村においても拡充されるようお願いしたい。

5 子育て・福祉対策について
 「子育てするなら山形県」を標榜する本県においては、有事の際こそ妊婦(妊婦の配偶者)への配慮と支援が実現されるべきと考える。この点、東京都では衛生用品やタクシー券の配布を決定している。本県でも、数千名の妊婦が不安を抱えているため、同様の配慮のみならず、働き方について事業者側の理解が進むよう更なる啓発に努めるとともに、休業取得及び休業手当への支援も含めた制度の確立を要望する。なお、不妊治療者に対する感染防止を含めた医療的配慮もお願いしたい。
 また、夫婦が感染した場合には、祖父母などの近親者が子どもを預かる場合を除けば、子どもの養育を誰がみるのかが非常に重要となる。この点、親が入院した場合(児童相談所の一時保育や児童養護施設などで対応するよう国が自治体に通知)と入院していない場合(自宅療養とするか保健所の判断で国の統一的基準なし)でどう対処すべきかを地域ごとに想定し、市町村や関係団体と連携のうえ、実際に対応できる体制づくりを要望する(※本県は、3世代同居率が都道府県別で全国1位ではあるが、家族内クラスターが発生した場合に同様の事態に陥る可能性が否定できない。前述の「感染防止ハンドブック」による情報周知も効果的である)。
 さらに、集団感染を抑えるため、家庭での保育が可能な家庭には家庭保育の推奨を市町村に求め、放課後児童クラブや保育施設などにおける利用及び登園自粛の家庭に対し、市町村を通じ、利用料の返金や保育料、給食費の返金など必要な支援策を講じることを要望する。
 また、放課後児童クラブ施設の指導員らも緊急事態に対応するべく業務に応じているため相当な疲弊がある。よって、国からの運営及び人材確保の補助に加算する形での県独自の支援により、持続可能な勤務体制が実現されるよう要望する。
 加えて、高齢者や障がい者福祉施設、放課後児童クラブ施設や保育園などへはマスクや消毒液を優先的に供給するよう要望する。

6 財源確保について
 いまだ前例のない国難においては緊急的な財政出動が必要であり、当初予定していた予算執行の見直しも当然に必要となる。
この点、まずは公共事業の見直しや適正化を図り、緊急的且つ柔軟な対応が求めれると考える。また、本県財政調整基金からの拠出を含めた対応を要望する。
 さらには、すでに中止が決定している本県主催の催事に係る経費以外の残余金などを集約し、積極的に新型コロナウイルス感染症対策として組み替え実施していくとともに、市町村でも同様の組み替えを行った場合の支援も検討されるよう要望する。
 なお、ふるさと納税による寄附金の活用や国からの国民一人あたりに対する給付金による寄附を可能とするコロナ基金(仮称)を本県独自に創設するなどの手法も大いに検討されるよう望む。

7 その他
 県独自で県内縫製事業者からの協力のもと、布製マスクの製造、配布に向けて取組まれていること、並びに奉仕活動の一環として任意団体がこうした活動を実施されていることには敬意と感謝を表する次第である。こうした一連の動きにおいて、一般の事業者と同様に需要が減少している障がい者就労支援事業所などに対して布製マスクの製作を促すことも要望したい。
 また、県内出身者で首都圏を含む県外在住の学生らについては、帰省自粛をお願いし不安の中で生活されている方も少なくない。そこで、こうした学生らの帰省自粛協力へ呼応する支援を実現されるよう提案したい。具体的には、本県では平成27年度からUIターン就職の一層の促進をはかり、県内企業の人材を確保することを目的として、首都圏をはじめとした大学などとUIターン就職促進に関する協定の締結を行っている。そこで、こうした土台を活用してコメや果樹、県産品などを無償提供しすることが本県の魅力の発信と子育て世帯への理解、そして何よりも首都圏などで生活する学生らへの応援メッセージになると考えるため、そうした県外在住の学生らに対する帰省自粛に対する支援も実施されるよう要望する。
 さらに、県内大学機関などとの提携、及び県内学生らによるコロナ対策に係る企画立案を促進することも行政主導による支援策の硬直化を防止する一助になると考えるため、是非ご検討いただくようお願いしたい。

以上

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